1.スイスファブリックの起源
スイスの織物産業は、14世紀頃に始まりました。イタリア・フランスからのプロテスタントたちにより産業化が進み、 15~16世紀頃から麻の織物が栄え、フランス革命後には、綿や絹織物が始まりました。
原料の綿はエジプトから、絹はフランス・イタリアから輸入され、完成品の織物として17世紀には貿易も行われました。
産業革命が起った18世紀は、時計など金銀工業の傍らで製造された金糸や銀糸が最高級服飾品の刺繍に使われました。綿やレースの製造も増加の一途を辿り、19世紀にはプリントの技術が開発されました。
2.クリスチャン・フィッシュバッハ社
スイスアルプスの山懐に抱かれる街、サンガレン。澄んだ空気と清流に恵まれたこの街は、古くから織物の理想郷として栄え、ヨーロッパテキスタイル発祥の地として知られています。
16歳の少年だったクリスチャン・フィッシュバッハは、手織りや刺繍の中から優れた商品を選び、サンガレンにあるテキスタイルマーケットで販売しました。彼自身の名前をブランド名とし、ハイクオリティなファブリックを取り扱う会社を1819年に設立しました。
その後、現在のスイス本社があるサンガレンに拠点を移し、事業の拡大を図りました。
3.世界へ向けて
1950年初めには、原料としての販売とともに、デザインを取り入れた商品化が進められました。ラグジュアリーなファブリックとして、付加価値が加えられ、ブランドとしての地位を確立させました。
1970年代に入り、クリスチャン・フィッシュバッハ社は急成長を遂げました。スイス以外に、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、そして日本にも事業展開し、高級ファブリックの会社として成長していきました。
日本フィスバ株式会社は、主にクリスチャン・フィッシュバッハ社の出資で1971年に設立されました。ヨーロッパより輸入されたインテリアファブリックに加え、縫製技術も導入し、国内メーカーで見ることのなかった16工程の縫製ラインをフィスバ縫製として発表しました。今日も、美しいシルエットを長く保つハイクオリティな縫製として認められています。
4.アパレルからのインスピレーション
インテリアファブリックとして知られているクリスチャン・フィッシュバッハ。ファッションファブリックの歴史が長く、感覚的な影響が現在も強く残っています。メンズやレディスのアパレル用ファブリックをパリやミラノのプレタポルテ各社のために開発していました。
今日でも、一流アパレルメーカーと同じ工場で、ジャカードや刺繍のファブリックが造られています。
5.ファブリックとアートの融合
80年代には、ドレスファブリックで研ぎ澄まされたジャンニ・ヴェルサーチのセンスをインテリアファブリックのデザインとして発売しました。ローズのデザインのシリーズは、スリーディメンションと表現され、三次元的な立体感をもつコレクションとなりました。
90年代初めには、芸術家としても世界的に著名なラウル・デュフィを表現したデザインをコレクションとして発表しました。
6.自然素材の起用
90年代に入り、自然素材のシルクや麻、ウールといったファブリックをいち早くインテリアファブリックとして取り入れました。当時は、インテリアの分野では新素材として扱われ、実用性の面で非現実的だといわれた自然素材も、現代のインテリアに必要不可欠な存在となりました。
エコロジーにも配慮された自然素材は、空気中のホルムアルデヒドをはじめとするVOC(揮発性有機化合物)を取り込み、湿気を吸収・放出する役割も果たして、住空間の環境を整える働きもしています。
7.快適さ、そして安全性
1996年には、商業施設やホテルといったコントラクトビジネスの分野に向けた防炎商品のアンビエンティコレクションが発表されました。
火災の際、炎が燃え拡がるのを抑える防炎性がある素材として、品質が高いトレビラCS(難燃ポリエステル 100%)の繊維を使用した防炎商品は、特に高層マンションにお住まいの方々におすすめしたいコレクションです。ドレープやレースのみでなく、椅子張地も加えられ、トータルコーディネートが可能なコレクションとなりました。
8.美への夢
デザイン性を重視した商品開発のみならず、世界規模の情報網を生かした緻密なマーケティングと、的確なマーチャンダイジングによって商品企画されています。
洗練されたヨーロッパのテイストとハイクオリティなファブリックをお求めの方々のために。これからも、世界中の人々に、ファブリックで美への夢を与えていきたい。それが、私たちの夢でもあります。